施工図駆け出しの頃は「クリア」ってなに?って
きっと思われますよね。
物と物とが重なる部分に隙間を作ることを「クリアを取る」と言います。
例えば鉄骨の柱と梁が取り合う場所は通常10mm離します。
ここに溶接が来るような場合は+5mm~10mmクリアを取ります。
何故かというと溶接の厚み(余盛といます)が来るのですが
この余盛が板の厚みと同じくらいになります。
例えば6mmの板の溶接には約6mmの余盛がつきます。
(細かく言うと違いますが、最初はイメージしやすいように
鉄骨の厚みと同じと覚えるとわかりやすいと思います)
通常図面を描く時にこの余盛までは記載しないことが
ほとんどなので気付かないんですが
実際にはこの状態だとクリアは4mmしか無いことになります。
そうすると通常10mmよりだいぶ少なくなってしまうので
10mm+5mmのクリアを取りクリア15mm
ここから溶接の余盛が6mmとすると
実際のクリアは9mmとほぼ10mmになります。
このように線だけ描いていると見逃してしまうので
ポイントは物が出来上がっている状態を
イメージして作図することが大事になります。
最初はイメージしにくいとは思いますが
まずはクリアの箇所に溶接が来るかどうか
を意識して作図してみましょう。
今度は躯体と取り合う場合を考えてみましょう。
下地工事などでは躯体(スラブ)と取り合う場所は
30mm~50mm程クリアを取ります。
理由は躯体の仕上がりに差が出ることが多いからです。
このあたりはまだ別の機会に詳しくお話できればと思いますが
このようにクリアを考えないと、実際の取付時に
あわなくなり、余計に建物の精度が悪くなってしまいます。
建築の分野では『納まらない』と言います。
CAD上では寸分の狂いなく描けるのですが
実際の製作、取り付けはなかなかそのようには行きません。
こちらも最初はイメージしづらいかもしれませんが
実際の取り付ける状況をイメージしながら
作図を出来るようにしていきましょう。