私の考える施工図とは
「翻訳ツール」
建設現場における設計者、製作者、取付業者など
みんなの共通理解の出来るツールと言う認識です。
本来施工図とは無くて良いものです。
そのため施工図と描くのに必須な資格等はありません。
設計図からそのまま製作、施工出来れば一番最短です。
ですが、残念ながら設計図の段階でそこまで細かく考えていたら
考える内容も多岐にわたり、人員、知識ともに
莫大な時間が必要になってしまいます。
そのため現在の大規模の建築物は大まかに言うと
設計(建築士)⇒施工(ゼネコン※現場の施工図)⇒専門業者(各専門の施工図)⇒施工(職人さん)
という流れになっています。
私の場合は主に各専門の施工図に位置します。
現場の施工図の役割は『各専門業者の施工図をまとめる』
各専門の施工図の役割は『自分たちの専門分野を製作・施工出来るレベルに落とし込む』
設計図から職人さんに渡るまでの橋渡しをするのが施工図の役割です。
例えば現場施工図レベルである程度図面の形が出来ていて
工場で製作する必要がなく現場で材料を切ったりつけたりする仕事で
且つ職人さんのレベルが高ければ、私の役割(専門の施工図)は必要なく
計画から施工まで短い時間で進むことが出来ます。
このあたりを現場の施工図⇔専門の施工図でうまくやりとりするのが
工事がスムーズに進むかどうかの肝になってくると思います。
現場の進捗状況・専門業者の会社のスタイルなどを加味して
適切なジャッジが必要になります。
これは施工図に携わる方は是非意識する必要があると思います。
そして残念ながら現場には工期があります。
その工期が延びると色々なコストが発生することも意識しなければなりません。
そしてそのコストは莫大なものになります。
施工図だけに携わっているとなかな工期やコストの面など
気にすることは無いかもしれませんが
限られた時間、コストの中でプロジェクトを進めるには
無駄を削ぎ落とす必要があります。
私も色々な方を見てきましたが
特に図面をキレイに描くことにこだわり過ぎて
時間を度外視する方をたまに見かけます。
大事なのは『キレイな図面を描くこと』ではなく
『現場を進めることの出来る図面を描くこと』になります。
これが一番施工図でスキルの差のつくところになります。
CADの操作などはある程度年数を重ねれば大きな差は出ません。
専門の知識、何をすれば早く作れる、何をすれば安く作れる
どこまでやれば一旦逃げられる、どうやったら製作しやすくなる
どうやったら取り付けやすい
単なる線ではなくこういった事を考えて描いたものが
有用な『施工図』だと私は考えます。
極論
「施工図は無くて良いもの
仮に手書きでも素早く、間違いなく製作、取付できる図面なら有用な施工図」
※決して早くて汚く間違った図面を描けと言ってる訳では無いのでご注意ください
(読み取れない図面、手戻りのある図面は無駄な時間・コストが発生します)
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